テンペスティ

イタリア　テンペスティ社の/MINEの白ヌメを使ってミニ財布にもなるマルチケースを先日仕立てました。

ミニ財布にもなるマルチケースは定番商品として今回作った差し込みタイプと革包みボタンを使った

ホックタイプを用意しています。

ホックを使わずにフタをする差し込みタイプは金具を使わず中身が落ちないよう閉じ込めないといけないのでフタ部分の長さが長いと差し込みづらいので長すぎず短かすぎず...

革の厚みも厚いとフタ差し込みずらいので厚過ぎず...　

かといって薄いと差し込みやすいのですが締まりが悪くフタが開きやすくなってしまう...

何度も試作を繰り返しようやく最適なものに辿り着きました。

名称をマルチケースとしてるのは使う人によってカードケースや名刺入れ代わり、少しの小銭とお札を入れておいてコンビニ用サブ財布に、ガッツリ小銭、紙幣も入れてメインのお財布として使うことも可能なデザインなので使う人のスタイルに合わせた多様なケースと言うことでマルチケースという名称に。

話が横にズレましたが今回はそんな差し込みタイプのマルチケースをイタリアサンタクローチェ地区にある老舗タンナーであるテンペスティ社で製造されたショルダー皮革 MINEのヌメ革で仕立てました。

MINEはワルピエやバダラッシなど他のイタリアンレザーと異なり油分を抑え、素上げ調の自然な仕上がりで革本来の素朴な風合いを楽しんでいただける革に仕上がっています。

中でも染色など手を加えていないヌメ革（生成り）は自分だけの革味や経年変化を最も楽しめる素材ではないかと思います。

ただこの生成りを白糸で仕立てるのは白革と同じかそれ以上にとても気を使います...

ほんの少しの手汗や汚れなどもすぐに拾うので自分にとっては作り手泣かせの素材です。

染色されていない革なので出だしの裁断から慎重に、

色が入っていないので目立つ擦り傷や小傷もあり場所によっては若干の色味の違いなども、型紙をアテながらひと苦労です。

さらに裁断した床面に糊を付けてスームス加工...　ようやく組み立てと苦労の連続

今回も手縫い糸にはフランスのFill Au Chinoisの白を使用したので糸にも汚れがつかにように。

当然ですが作業中は品物以外のモノは触りません。

ヌメ革組み立ての中で一番慎重になるのが仕上げのコバ（革の切れ目）磨きで、強度を上げるため何度もヤスリをかけて何度も磨いてを繰り返すのですが、その反復途中に磨き材が手縫い糸や別の所についてしまったりすると色が変わってしまいシミになりその時点で品物にならないので裁断、裏処理、組み立てもある程度進んだところでミスってしまうと崩れ落ちます...　今回は問題なく仕立てられて一安心

OEMでやるヘリ返しや切りっぱなしなら時間も手間もかからないのですが自社ブランドでは納期やコストも考えないで出来るので時間とコストを惜しまず良い品物を良い素材を使って仕立てます。

黒ですが自分はお財布代わりに1年弱使いましたがコバ（革の切れ目）も荒れる事なく全く問題なしです。

（革はブッテーロ, フランス糸Fill Au Chinoisを使用し手縫いで仕立て,切れ目は磨き上げ最後にネンを入れて仕上げました）

自分の場合移動、食事、買い物など身の回りほぼスマホ決済、カード払いの生活なのですがいくらキャッシュレス化しているとは言え日常生活の中では小銭が出ることも多々有るので取り出しやすいマチ付きスペースがとても使えました。

大きめのマチ付きなのでカードを複数枚入れてカード入れ専用スペースとしても使えます。

マチ付きケース内の前後には単独カードポケットも設けてありますので自分の場合は片側に免許証を、反対側にはよく使うスーパーのカードなどを入れています。

本体外側の背面ポケットにはよく使うポイントカードやSuicaなど複数のカードを入れてあるので外側収納が意外と使えました。

紙幣とクレジットカードは共にセパレートの前面に収納して微妙なカーブを付けているのでそれも取り出しやすく思いのほか良かったです（写真は未使用のホック付き）

使ってみて分かったのは長財布、ラウンドファスナーほどの収納力は無いですが薄型でポケットに入れてもかさばらずカードも小銭も紙幣も十分入るので自分的には使い勝手のいいお財布として大満足。

あと差し込み式は見た目スマートですがフラップの出し入れに少し慣れが必要なのでやりづらいと感じる方もいるかも！？　そいう方にはホック式のタイプをお勧めします。

さらにもう少し収納が欲しい、カード、紙幣、小銭、分けずガバッと入れたい方にはL型ファスナーが使いやすくお勧めです。　XSサイズ、Sサイズ、Mサイズ

財布として使ってみましたが使う人によってカードケースや名刺入れ代わり、サブ財布、小銭、紙幣も入れてメインのお財布として使うことも可能なので気になった方はマルチケースを一度お試しください。

AZZWELL - Leather & Metal Craft -

国分寺市南町2-1-27 1F

銀製品, 革製品, 革小物,ベルト, 財布, 鞄製造

好きな黒革　イタリア/ワルピエのブッテーロ, バダラッシのプエブロ, リスシオ,

テンペスティのMAINE, ベルギーのサドルプルアップ, 5種類を使ってマルチケースを作ってみました。

ぱっと見は同じ黒でも国や地域（タンナー）によって個々の持つ素材特性が違うので経年変化も違って

面白いかなと...

下地に油分を多く含んでいたり逆に控えめにして堅牢性を上げたり, 黒の染料,表面処理も違って会社によって加工してあったり, マットな黒や光沢のある黒など様々な違いがあり, 使っていくとその違いがわかりやすいようにプエブロとマイネのコンビを外装にして中のカードケース前面にはマイネと比べて光沢があるサドルプルアップを、中はリスシオ, カード段は同じタンナーでも表面加工の入っているプエブロを使って等々...

各素材の経年変化を想像しながら組み合わせを試行錯誤して最適な組み合わせになったのではないかと思います。

興味がある方は→Chaos Slim Case

他にもブライドルやホーウィンなど特徴的な革が有るので時間と機会があればそちらでも作ってみようかと思います。