今回はお客様持ち込みのバックルを使って革はブッテーロでお馴染みのイタリア ワルピエ社/エトルスコのチョコでオーダーベルトを作製させて頂きました。
エトルスコは4m/m以上ある肉厚な革でありながらしなやかさを併せ持つ珍しいショルダー皮革でイタリア鞣し協会も認める古典的なタンニン鞣しなので使っていくうちに色の深み, 光沢が増し経年変化も楽しめます。
今回は約30m/m幅のバックルなので29m/m幅に裁断しました。
なるべく裁断面が垂直になるように裁断します。
裁断後,1本の状態で柔らかい部分など適さない場所を落としてより良い部分のみを使用します。
今回はオーダーサイズに比較的余裕があったので両端を長めに落として真ん中の部分のみ使いました。
次に真っ直ぐ切っただけだと角が四角いのでコバ(革の端)を落として丸くしていきます。
柔軟性の有る革なので慎重に丸くなるように何回か繰り返します。
ある程度丸くなって来たら一度落とすのをやめて色を入れます(色を入れると形がわかりやすいので)
チョコなので焦茶の染料を入れます。
黒やチョコに関しては大量に使うので染屋さんに調合してもらって大量に買います。
チョコは黒に近い焦げ茶にしてもらっているので使い始めはほぼ黒に見えますが使用してくるとちょうど良い感じに抜けてきて馴染んでいきます。
最初色を入れただけの状態です。
毛羽立ちが目立ってザラついているので少しづつヤスリをかけて滑らかに整形して行きます。
最初は#400でざっとヤスリかけて,また色を入れます。
#400で色入れて削ってを繰り返してだいぶザラザラ感が無くなりました
ある程度の形が出来たら#600, #800... と徐々に番手を落としてヤスリをかけては色入れを繰り返してもっと滑らかにしていきます。
ベルトは長尺なので滑らかにするのに時間がかかります。
最後にザラザラ感がなくって来たら仕上げにフノリをつけて磨きます。
磨いた後にコバを熱処理をするのですが写真を忘れたので別の写真で...
熱を加えると革の繊維が締まり強度補強になるので電気コテのようなものでゆっくりベルトの端を表と裏、両面にあてて行きます。
先端はベルトで一番重要な部分であり強度も必要な箇所だと思うので慎重に仕上げます。
これで一通り帯は出来上がりです。
次に出来上がった帯にバックルを手縫いでつけて行きます。
今回はお客様がサルカンも付けたいとのことでサルカンも帯と同様の手順で同じように磨いてネンを入れて作製します。
持ち込みのバックルが重量感のあるバックルで大きかったので12m/m幅と13m/m幅を迷ったのですが試しに両方作って合わせてみたらやや幅広の13m/mが合ったので13m/mを使ってバックルをつけました。
バックルとのバランスで1m/m違うだけでも見え方が全然違います。
バックルが付け終わったら希望サイズに穴開けをします。
穴も重要な箇所なので最初に切り落とした同じ革を使って大小さまざまな丸, 楕円, 小判などいろいろなものを開けてはバックルにはめてを繰り返し何が一番良いのか探します。
今回の持ち込みのバックルには小さめの雫型がしっくり来たので雫型を採用しご希望が1穴なので1つだけ開けました。自分も年に一度ベルトを作るとき自戒の念を込めていつも1穴なのですが、
1穴のお客様は初めてでした!
さすがにお客様用で雫型の1穴は緊張です。
穴も無事に開いたら最後に押しを入れます。
今までOEMで何千本も作っているのでさすがに失敗はしないですが予備も無い1点モノなので緊張します。
無事に押しも入ったのでこれで完成, 長い間使って頂けるベルトになったかと思います。
追加の穴開けが必要になったり経年変化で手縫い糸が切れたり,コバのメンテナンスも行いますのでお気軽にご相談下さい... ありがとうございました!
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